会社員の思い出 #01

#01 『ランチにて』

 

課のみんなで中華のランチに行った時、課長だけ会議があって遅れてくるってことになって、注文だけ先にしといてと。

 

そこの中華は、担々麺が美味しいって有名だったので、注文は、みんな担々麺、課長も担々麺だったんだけど、辛さを選べるシステムってことを忘れてて、課長からどの辛さがいいか聞いてなくて。

 

でも、なんか前日に意味不明な理由で怒鳴られたから、仕返しってわけじゃないけどチャンスだと思って、一つだけ激辛にしてもらって待ってたら、すぐ課長が現れて、実は遅れた理由は会議じゃなくて体調崩して病院寄ってて遅れたらしく。

 

その時に、申し訳ないなぁって思って注文変更頼もうと思って立ち上がったら、結構料理作るの早い店で、人数分の担々麺(一つは激辛)が運ばれてきて、店員さんも注文取った時のことを覚えてたみたいで、課長の前に激辛担々麺を何も言わずに置いて、他のみんなは何も言わずに食べ始めて、僕も可哀想だけど今更激辛だって言って怒られるのもあれだから、そしらぬ顔で食べ始めた。

 

そしたら、みんなは美味しい美味しいって食べてたんだけど、課長だけは顔を真っ赤にして、汗だらだらかきはじめ、目も血走ってきて、"辛くない?"、みたいなこと周りに聞くんだけど、周りも、"いや、そこまでではないよね"、って半笑いな感じで答えて。

 

あれ、他の人たちも病み上がりの課長だけが激辛担々麺を食べてヒーヒー言って苦しんでるのを楽しんでるんじゃないかと思って、ちょっと怖くなりながらも、でも、普段から周りを威圧してるとこんな目に遭うのかぁ、なんて冷静になりながら、みんなで担々麺を食べたってことを思い出した。